公務員試験ジャーナル

vol.5

2024年3月15日発行

高卒程度 公務員受験指導のポイント
~高校2年生から3年生の合格後の指導まで~

INDEX

1. 指導を始めるにあたって
2. ガイダンス・学習スタート
3. 高校2年次の学習・指導計画
  ※指導プログラム例

4. 高校3年生の学習・指導計画
  ※指導プログラム例

1. 指導を始めるにあたって

高卒程度公務員(以下〈公務員〉)を志望するにあたっては、仕事の特色、採用後の待遇・勤務条件など、正しい公務員像を知るための情報取集を最初に行うことが重要となります。公務員には国家公務員・地方公務員それぞれに、さまざまな職種があり、選択の幅が広くあることをはじめに理解させておきましょう。

◇当社のウェブサイトでは公務員試験情報を随時提供しています。

リアルタイムの情報は人事院の「国家公務員試験採用情報 NAVI」をはじめ、各官公庁・自治体のウェブサイトから確認することができます。

●実務教育出版

https://www.jitsumu.co.jp/news/exam

●人事院「国家公務員試験採用情報 NAVI」

https://www.jinji.go.jp/saiyo/saiyo.html

2.ガイダンス・学習スタート

早い時期から指導をスタートさせましょう。2年次の新学期に行われる全体にむけた進路指導の場では、「公務員について」の概要を説明し、公務員を志望する生徒に対しては、後日、ガイダンスを設定しましょう。学習、対策を始める前のガイダンスとして、(1)高卒程度 国家・地方公務員の職種と職務の概要、(2)高卒程度 公務員試験の概要とその流れ、(3)高卒程度 公務員試験の受験対策、といった基本的な説明でよいでしょう。また、試験合格を目指した学習・指導体制の計画をガイダンスでも伝えておくことで、生徒の漠然とした不安が解消できます。なお、職種と職務の概要を説明する際には、警察官や消防士など、公安系の職種には身体基準が設けられている場合が多いこと、あらかじめクリアするべき条件がある点にも触れておく必要があります。

公務員志望者へのガイダンス後には、志望ごとにグループ分けをしておくと、各受験のポイントを押さえた指導を行うことができます。また、保護者会においても、公務員志望者への指導内容を今後の進路指導計画の説明に含めておくと良いでしょう。

〇試験対策学習

公務員試験は、出題科目が多く、その範囲が広いため、試験対策として指導したいのは、主に【教養(基礎能力)試験対策 】、【適性試験・SPI 対策】、【作文試験対策】の3つです。
当社では、『高卒程度 公務員模擬試験』『適性試験ステップ25』「作文添削指導」「SPI対策問題集」などの教材がございますので、ぜひご活用ください。

【教養(基礎能力) 試験対策 】

対策としては、基礎学力の徹底的な復習を中心に学習を行っていきます。科目数が多く、短期的にはなかなか効果が上がらない教養(基礎能力)試験対策では、生徒のモチベーションを維持していくことがカギとなります。個々の生徒の得意分野と苦手分野を把握して、前向きな気持ちで学習に取り組めるように、折々の到達度のチェックと、学習計画を見直すなどのフォローが必要です。

【適性試験・SPI 対策】

公務員試験で課される適性試験は、一般的な適性検査とは異なり、練習すればするほど着実に結果に表れる試験です。早い段階から練習を組み込んでいきましょう。
また、近年市役所を中心に採用されるようになってきた「SPI」も同様で、早い時期から専用の問題集などで演習を繰り返し、出題形式に慣れることが大切です。

【作文試験 対策】

作文試験対策は、まず生徒には新聞を読む習慣をつけるところから始めましょう。新聞記事の文体は、大変参考になると同時に、時事問題への関心を高める指導にもつながってきます。さらに読んだ記事について要約をする文章表現のトレーニングも続けていきましょう。また、短くまとめられている社説やコラムは読みやすく、文章の構成や流れを学ぶことができます。書き写して理解を深めたり、自分の言葉や考えを入れてまとめ直したり、など様々な手法で文章に慣れさせていきましょう。

このほか、警察官・消防士などの公安系の職種では、二次試験に身体検査と体力検査が行われます。体力検査は、腕立て伏せや反復横跳び、シャトルランなどが課されるため、志望する生徒には、一次試験の対策と併せて基礎体力作りを奨励しておきたいものです。

3.高校2年生の学習・指導計画

公務員試験の教養(基礎能力)試験では、多くの科目が高校で履修する科目と重なっていますので、日々の学習がそのまま基礎学力となります。

【2年生向け指導プログラム 例】

2年生向け指導プログラム 例

〇高2・4月 基礎学力養成

2年生の1学期から夏休みにかけては、中学から高校 1 年生までの基礎を身につけるために、苦手教科の復習を中心とした学習計画を立てます。また、夏休みを活用して特別講習を開催することも効果的です。夏休みの特別講習は、本試験直前の3年生とともに参加することで、成長目標が具体的になり、アドバイスなども受けられると意識が高まるでしょう。

〇高2・9月 模擬試験の活用

9月から3学期にかけては、夏休みまでの学習の定着、実力確認として、高2用『公務員模擬試験』の実施を計画されることをおすすめいたします。

合計4回の実施期間を設定しており、過去の公務員試験の出題内容と傾向を踏まえつつ、基礎力養成を主眼に置いた全国規模の模擬試験です。提供する成績資料には、学習の到達目標に加え、弱点分野克服のためのヒントが示されていますので、ぜひご活用ください。

12月には 3年生の公務員試験の受験結果が明らかになってくる時期です。受験体験を中心とした報告会を開き、3年生からのリアルなアドバイスを受ける場を設けることで、2年生の意識は高まります。また、先生方にとっては、当年度の結果を踏まえて、2年生の公務員受験指導計画を見直す機会となるでしょう。

〇高2・1月 志望職種の絞り込み

1月に入ると、志望職種の絞り込みが具体的になってきます。

当年度の公務員の採用試験結果が公表される中、希望職種の受験者数や試験の倍率などの動向に、志望先の選定や志望職種の順位決定が左右される2年生もでてきます。また、厳しい試験結果に不安が強まり、進路変更を考える生徒も出てくるかもしれません。より詳しい試験結果の情報収集を行い、この時期には繰り返し進路相談を行うなど、丁寧にサポートしていくことが重要です。

4.高校3年生の学習・指導計画

3年生になると、実戦演習が学習の中心となっていきます。スムーズに学習を進めるためには、弱点分野が効率的に発見でき、補強のための指針が得られる模擬試験の活用がおすすめです。

【3年生向け指導プログラム 例】

3年生向け指導プログラム 例

〇高3・4月 実戦演習と模擬試験の活用

4月に入ってからは実戦演習として、模擬試験の実施を計画していきましょう。

当社の高3用『公務員模擬試験』は、過去の公務員試験の出題内容と傾向分析に基づき、実戦的なレベルの問題を中心に出題します。

高3用『公務員模擬試験』は、4月から試験直前の8月まで合計6回を設定しています。毎回、学習の到達目標を示し、判定結果は進路選択の重要な参考資料となりますので、継続してご活用ください。

また、3年生から新たに公務員試験を志望する生徒に対しては、夏休みまでには別の試験対策スケジュールを組み立てる必要が出てきます。基礎的な学習を進めると同時に、『公務員模擬試験』のペースメーカーとしての活用は効果が高まります。

さらに、過去の出題テーマに基づいた一人ひとりへの添削指導が不可欠な作文試験対策には、『公務員模擬試験』に付録としてついている自習用の作文用紙(別途有料添削)を活用することで、合格作文のポイントを踏まえたアドバイスが受けられます。

〇高3・6月 出願にむけて

6月下旬には、各試験の申込受付が始まります。5月に入った段階で最終的な出願のための個人面談、あるいは保護者を交えた三者面談を計画し、生徒と保護者の本番に向けての意思確認をしておきましょう。

〇高3・夏休み 実戦力養成

夏休みには、直前対策として特別講習の計画を組み込んでおきます。

近隣の公務員受験予備校などでも短期集中講座などが開催されますので、そちらを利用させたり、試験の雰囲気に慣れるために公開の模擬試験に参加させたりする方法もあります。

教養試験対策としては、これまでに受験した『公務員模擬試験』をベースに弱点分野の確認や復習を行いましょう。さらに、試験時間の配分の仕方やマークシートなどの解答方法に慣れる練習も併せて行っておくことで、本番のイメージトレーニングとなります。

適性試験・SPI は正確さとスピードが要求されます。短時間でもよいので、 毎日取り組むことで、効果があがります。

作文試験対策については、これまで取り組んできた課題の書き直しや、新聞・ニュースの時事的なテーマについてまとめるなど、表現力を高めていましょう。表現力の強化や時事に詳しくなることは、面接試験に役立ちます。

また、受験地の下調べや交通手段の確認も夏休みを利用して行っておきたい準備です。 遠方で受験する場合の切符・宿泊の手配も忘れていないか、必ず確認しておきたい点です。

〇高3・8月~9月 一次試験対策

試験直前となる時期は、生徒自身も神経が過敏になっています。新しい問題集などには手を出さず、これまでの復習をすることで自信を持たせる配慮も行っていきたいところです。一次試験が集中的に実施される9 月から 10 月にかけては、ほとんどの受験生がいくつかの試験を併願することになるかと思われますが、風邪などをひかないように体調管理についてもしっかりと指導を行っていきましょう。

〇高3・10月 二次試験対策

公務員試験の二次試験では個別面接が主流ですが、都道府県・政令指定都市や警察官試験などでは集団面接や集団討論が併せて実施されるケースがあります。理想としては受験する試験に合わせた面接指導(模擬面接等)を行うことです。

面接試験においては、事前に提出する履歴書や面接シートなどをもとに質問がされます。採用者側は、将来同じ職場で働くことを念頭に、きちんとコミュニケーションがとれるかどうかも重要なポイントとしています。マニュアルに頼った回答ではなく、自分自身の言葉で自分の考えを伝えられるように十分な準備が必要となります。

〇高3・11月 最終合格者発表

1月中旬頃から二次合格者が発表されます。ただし、国家公務員一般職試験は、二次試験の合格者が採用候補者名簿に登載され、各官庁の採用面接を経て内定者が決定されます。そのため、11月は、採用面接対策として、志望官庁と職種の徹底的な研究が必要となります。採用面接試験では、志望動機をはじめ、公務員としてのキャリアプランまでを含めて、しっかりと自分自身の言葉でやる気と本気をアピールする表現力が求められます。

Copyright(c) JITSUMUKYOIKU-SHUPPAN Co.,Ltd. All rights reserved.
TOPへ